あなたのお家の光回線速度を上げる方法

March 24, 2017
IPv6 IPoE IP ISP VNE IPv4 network speedtest

目次

  • ネットワークの基礎知識
  • 回線速度の測定方法
  • 回線速度が遅い原因を特定する
  • なぜ遅いのか
  • 遅くなった原因
  • どうすれば速くなるか
  • IPv6+ IPoEを使う
  • 使われている事例
  • 実際にどうすればいいか
  • 結論

ネットワークの基礎知識

  • ONU(光回線終端装置、モデム)
    • 光信号とデジタル信号を変換するもの
    • ルータと一体型になってるものもある
    • 壁に埋め込まれているものもある
  • ルータ
    • 普通1ネットワークに対し1台しか接続出来ないが、複数台接続できるようにするもの
    • PPPoEやNAT、DHCPなどがある
    • ONUと一体型のものもある
  • PPPoE
    • プロバイダと接続するための認証
  • NAT
    • 外部ネットワークと内部ネットワークのIPアドレスを変換するもの
    • 内部で外部ネットワークのIPとは別のIPを割り振ることで、IP枯渇問題を解決した
  • DHCP
    • IPアドレスを自動的に割り振るもの

回線速度の測定方法

speed testのサイトを使い、昼と夜(18:00頃)の速度を計測する 速度計測サイトのサーバが遠いと結果も遅くなるので、できるだけ国内のテストサービスをつかう 以下がよく使われる計測サイト。別に他のサイトでもいい

基本的に、昼は速く、夜は遅い

測定結果が100Mbps契約の場合、20Mbps以上出ていなかったら遅い

また、自分の住んでいる地区の速度と比較してみる

上記のspeed testをして、速度が遅いかどうかを判断する

ちなみに自分の家の場合(フレッツ光ネクストマンションタイプ、 so-net 100Mbps契約、PC直繋ぎ有線LAN)

ベストエフォートとはいえ、452.23Kbps(= 0.45Mbps)…あれ1/200以下?

この速度は、

  • 画像が昔みたく表示される場合がある
  • 画像がダウンロードされない
  • ゲームなんて画像ないようなもの
  • git cloneがタイムアウトする
  • 今のスマホテザリング(LTE)でも、20Mbpsは行く

回線速度が遅い原因を特定する

speed test後、速度が遅いとわかったら原因を特定していく

まず有線LAN接続なのか、無線LAN接続なのかを判断する

無線LAN接続の場合は、有線LANで速度を再び計測する。 ここで速度が向上したらルータの無線LANの部分が原因。11ac対応のルータ(asus, tp-link, NEC等)を買うべき。

有線LANで速度が遅いと思ったら、今度はルータを外してPCとONU(光回線終端装置、モデム)を直繋ぎして測定する。 ここで速度が向上したらルータの有線LANの部分、ケーブル、もしくはPCのLANが古いのが原因。

  • ルータは1000BASE-T(=1000Mbps)対応のもの(airmac expressとかは100BASE-Tなので遅い)
  • LANケーブルはcat5e もしくは cat6のものを買う。cat7は無駄だから買わないほうがいい。
  • PC側も1000BASE-T対応のものにする(大体は対応している)。USBで有線LANにしている場合は、USB3のものやThunderboltのものにする。
    • 速度は Thunderbolt > USB3 >>> USB2(これだけ100BASE-T)

それでも速度が遅い場合は、プロバイダを介さない速度テスト(フレッツ光のNGNテスト)をしてみる。

c.f. NGNテストのサイトの使い方

ONUとPCを直繋ぎし、PC側でPPPoEでNTTを指定する

macの場合、以下のようになる

左下の + を押し、PPPoEを作成する

アカウント名とパスワードを以下の表のように入力する

項目 設定内容
認証方式 PPPoE
プロバイダ名 任意(なんでもいい、無くても可)
ユーザー名 [email protected]
パスワード guest
IPアドレス 自動
DNS 自動

その後、以下のURLにアクセスすることでテストできる

http://www.v4flets-east.jp

自分の家の場合は、ほぼ契約通りの理論値(100Mbps)が出た

ここでも回線が遅い場合は、ONUが古い、壊れている、もしくは光回線の配線が劣化している可能性があるので、NTTに連絡する

なぜ遅いのか

ここで振り返ってみる。

自分の環境での測定結果は以下の通りだった

  • ONUは壁の中
  • ONUとPCは直繋ぎ
  • PCは2台で試したが結果は同じ
  • PCは1000BASE-T対応
  • ケーブルはcat 6
  • 複数のケーブルで試しても結果は同じ
  • 測定結果は0.5Mbps
  • 別の計測サイトでも1Mbps位
  • NTT NGNの測定結果は99Mbpsでほぼ理論値通り

となると、以下のことが推測できる

  • PCは問題ない
  • ルータも問題ない
  • ONUも問題ない
  • ケーブルも問題ない
  • NTTの(物理的な)回線も問題ない
  • プロバイダが悪い

遅くなった原因

なぜプロバイダが遅いのか、プロバイダに電話してみる。

測定結果とtracerouteの結果の値をzipで送ったり色々あって…

PPPoE認証サーバの終端、集約装置が混んでいることがわかった。

しかもPPPoEサーバの管轄はプロバイダでは無くNTT プロバイダはNTTに増強をお願いするしかできない。 しかしNTTも闇雲に増設は出来るわけがなく(コストとか)、プロバイダのユーザー数が一定数を超えないと増強しない。(増設例: so-net)

じゃあなぜPPPoEが混んでいるか。これはある法律が関係している

~ 2014年まで

NTTのフレッツ光は2014年3月末の東西合計の加入件数が1,805万件で、FTTH市場におけるシェアは合わせて71.1%。2013年3月末から1.5ポイント減少した。

c.f. MM総研: ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2014年3月末時点)

光回線は高かった。プロバイダ料込みで6000円前後 そして加入ユーザー数は減っていた

2015年、風向きが変わる

2015年、NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)が改正される。

NTTは元国営企業であり、NTT法(第30条第2, 3項)で NTT東西とドコモは一体的な営業が出来ない という規制を受けていた。

2: その電気通信業務について、特定の電気通信事業者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えること。 3: 他の電気通信事業者(第百六十四条第一項各号に掲げる電気通信事業を営む者を含む。)又は電気通信設備の製造業者若しくは販売業者に対し、その業務について、不当に規律をし、又は干渉をすること。

c.f. 情報通信復興会: 電気通信事業法第30条

これが以下のように緩和される

2: 禁止の対象が「グループ会社に対する優遇」のみに限定 3: 廃止

c.f. フォーサイト総合法律事務所: ICT・IoTビジネスと電気通信事業法等の一部改正について c.f. 総務省が進める「競争政策見直し」とは何か

NTTはセット販売ができるようになり、 docomo光 が解禁された。

docomo光は以下の特徴を持つ

  • スマホのパケットし放題の料金をセットにすることで、1台辺り500~2000円割引できる
    • 家族で契約してる人は大幅な割引
  • docomoショップで契約できる
  • 今までLTEだった人がwifiになったら速度は速くなる(実際は遅いんだけども)

つまりdocomoユーザーに対し、抱き合わせで光回線を販売することでユーザー数が増えた

実際にどの位ユーザー数が増加したかというと、

2015年12月: 契約数100万件突破 2016年6月: 契約数200万件突破 2017年1月: 契約数300万件突破

c.f. 実際の速度は800M以上! NURO光の実測や評判は?: フレッツ光 2016年 急激に遅い評判増える その原因は?

docomo光でいかにユーザー数が増加したかが分かる

このユーザー数増加に対し、PPPoEサーバの増強が追いついていない。

そして様々なプロバイダのPPPoEサーバは全てNTT管轄のビル内(POI)にある = docomoユーザーのPPPoE処理の影響が他プロバイダのPPPoE処理に影響を与える = プロバイダを変えても意味がない

どうすれば速くなるか

じゃあどうすればいいか。 要はPPPoEサーバを経由しなければいい。

それが出来る選択肢は以下の2つのみ

  1. NNTのPPPoEサーバを迂回しないプロバイダと契約する
    • au光
      • KDDIの回線を利用したサービス
    • U-NEXT光01(spaaqs光)
      • UCOMの独自回線を利用したサービス
      • 政令指定都市の特定のマンションじゃないと無理
      • U-NEXT光コラボレーションはダメ
    • nuro光
      • NTTの回線だけど、PPPoEなどは独自網
      • 8階建てのマンションだと契約者数4人を超えないと無理
  2. IPv6 + IPoEを使う
    • 次項で解説

ちなみに、上記以外の1Gbpsのプロバイダで契約したとしても、PPPoEを経由したものは今は良くてもその内同じ問題に当たる

IPv6+ IPoEを使う

IPv6

IPv6とはIPv4のIP枯渇問題を解決するために規定されたプロトコル

詳細はwikipedia等で参考にするとして、特徴を上げると

  • 事実上無限のIPアドレス
  • IPv4と互換性がない
  • NATを使わないで端末同士が直接繋がる
  • IPsecで通信が暗号化される

今までは、Webアプリ(apache)やDNS、サーバ側もIPv6に対応しないと接続できなかったので普及していなかった 枯渇問題も、NATを使えば解決できるし…

2015年docomo光以降NTTはNGN(Next Generation Network)、次世代ネットワークに切り替えていく方式(フレッツ光ネクスト)を提供し始めた

これは先程のPPPoEの速度遅いという問題を抱えているが、そのかわりにIPv6を(普及させるため) 無料で 提供してくれる

が、このままでは既存のサービスを見ることができない

そこでDS-Liteという規格が登場した

DS-Lite

DS-lite(Dual-Stack Lite)とは、RFC6333で規定された通信規格で、IPv6でカプセル化し、その中でIPv4の通信ができる(IPv4 over IPv6) しかも、通信速度はIPv6のネットワーク速度になる

これにより、IPv6非対応の既存のwebサイトを閲覧することができる

c.f DS-LiteでIPv4してみませんか?

IPoE

話を戻して、速度が遅いのはPPPoEが原因だった IPv6も最初はPPPoEで接続していた(IPv6 トンネル方式)

しかし新しい方式、IPoE(IPv6 ネイティブ方式)が登場した

IPoEとは IP over Ethernet(ネイティブ方式)の略で、PPPoEを経由しない しかも速度制限はPPPoEでしているので、1Gbps契約じゃなくても1Gbpsが出る可能性がある(200Mbps契約など)

代わりにVNE(Virtual Network Enabler)と呼ばれる、ネイティブ接続事業者(上位プロバイダ)が既存のプロバイダに変わってIPv6で接続する

このVNEはとても少なく、以下しかいない

  • mfeed(インターネットマルチフィード)
  • JPNE(日本ネットワークイネイブラー)
  • BBIX
  • ビッグローブ株式会社(BIGLOBE)
  • 株式会社朝日ネット(ASAHI ネット)
  • NTT コミュニケーションズ

既存のプロバイダでIPv6を利用する場合、以下のようにVNEに移譲している

プロバイダ VNE
IIJmio mfeed
GMO とくとく BB JPNE
21IP JPNE
Yahoo! BB BBIX
BIGLOBE BIGLOBE
ASAHI ネット ASAHI ネット
NTTCom(OCN) NTTCom(OCN)
ドコモ net mfeed
So-net mfeed

なので、IPv6でも速度が遅い場合は、違うVNEなプロバイダに切り替える必要がある

c.f. IPv6 IPoE に思いを馳せながら ISP をどうやって選定するか考える話

使われている事例

実際にどうすればいいか

IPv6にする

  • プロバイダにIPv6を提供しているか電話で確認し、申請する
    • その時、ONUも対応しているか確認してくれる
  • NTTでフレッツ・v6オプションを申し込む
    • そこでIPv6固定やDDNSを設定もできる
  • ルータと端末(PC, スマホ、タブレット)がIPv6に対応しているものを使う
  • ルータは IPv6 パススルー の機能をonにする必要がある

IPv6にしたあとの確認

以下のサイトでIPv6で接続できているか確認できる

http://test-ipv6.com/index.html.ja_JP

速度はIPv6対応サイトで確認する

http://speedtest6.iijmio.jp

海外のサイトでも速度チェックできる

http://ipv6-test.com/speedtest

結論

無料なので、IPv6 + IPoEを使おう

参考になるサイト

NTTフレッツ光で通信速度及び応答速度を期待できるおすすめISP